人事制度

 賃金制度設計で一番大切なことは、評価の公平性の確保です。公平性を確保することにより社員のモチベーションが向上します。

中小企業の場合、基本給に関しては、「総合決定給」を採っている会社が圧倒的に多い。

 総合決定給は、上記の賃金決定要素全体を総合的に勘案して賃金を決める方法である。

従って生計費の水準で賃金が決まっているのか、仕事ができる能力の高さで決っているのか、担当する仕事の難しさで決るのか、仕事の結果としての成果・業績で決まっているのかが曖昧で、基準が判然としない。

 また、せっかく基準を明確にした制度を導入しても、そのとおり運用していないというケースも中小企業には多い。

 理由として、中途採用者が多いことも一因といえる。

 結果として、賃金を受ける取る社員側からすれば、賃金の決定要素、基準が不明確なことは不安、不満の種になり、社員のやる気、モラールの低下に繋がる。

 また、評価基準がオープンになっていない。

 総合決定給を採っている中小企業で仕事や能力、業績、生活費などの要素を全く無視しているわけではない。

 経営者なりの判断に基づいて各要素を配慮した上で、個人別の賃金を決めている。

 ただ、その時々の成り行きに応じて決定しているので、予め基準をオープンにすることが不可能なのである。

 また、一定の基準を持っていても、社員にはオープンにしていない企業もある。

 基準をオープンにしないと、社員のやる気に繋がらないばかりか、逆に「会社が何とかしてくれるだろう」と、社員が依存体質になる傾向がある。

 人事・賃金システムの基準をオープンにし、どうすれば処遇がよくなるのか、そのターゲットを明示することは、社員のモチベーションを高めるために重要である。

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